andante

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独りでいる時間の三割くらい死ぬことについて考えています
僕はもうこの世界で生きることはできない人間なのだと思います


正直なところ僕はこの成果は学会発表に価しないと思うと言おうと思ったけど先生が良いって言ったのだから大丈夫だと思うよと言われた

予稿を書かなくてはいけないのにやる気がぜんぜん出ません論文も読めないああ疲れたなあとぼんやりとしていると頭の中で耳鳴りがするそれは音ではないのに音のように振る舞う言語的歯軋りとでも呼ぶのが適切かもしれないそれは確かに声として理解されるのに耳から聞こえるのではない


生活をよいものにしなくてはいけないでもそのためには休息が必要だと思う部屋を片付けなくてはいけない段ボールを棄ててしまおうと思っていたけれど今日は眠たいからそうしたくないだけどそうしなくては部屋は片付かないなにもひとりでには良くならないなにも

空気清浄機を買おうと思ったのですそうしたらすこしは健康になるかもしれないからでも思っていたより高い二万円くらいするのだでも買ってしまおうかそうやって僕はお金を使いすぎていると思うそうすることで僕はなにか力を手に入れているような気がするのだろうここで装備していくかいあの世にはなにも持ってゆけないもの

生活をよくしようと思ったのです黄昏時にあたたかいココアをのむようなすてきなブックカバーを選ぶようなコーンスープにパセリをきざんで入れるようなそういう豊かさがほしかっただけどそれらは今の僕にはあまりにも遠い一日中誰かを恨むことや死のことや自分の罪のことばかり考えてそうでない時間はただぼんやりとしている身体に力が入らないのだほんとうにこんな記述ぜんぶ消してしまおうかと思ったけどそんなことしてもいいことがない僕がこれを書いたけど消したなんて行為にはなんの意味もない僕が書いたそのことにしか意味はないんだ

こんな風になる前に大学なんてやめてしまおうって決めていたはずなのに


高校のパソコン部がいつのまにか80人くらいの大所帯になっていると聞きましたずいぶん立派な集団になったと聞いてはいたけれどそれほどとはみんな各自のテーマを持って活動をしていて講演会に呼ばれたりしているそうです優秀な人間に適切な教育システムが機能したということなのでしょうかね

僕のいた頃のパソコン部は六畳に足らないくらいの薄汚い小部屋にパソコンが五台とおびただしい数のガラクタが押し込めてあって不健康な顔をした若者が四五人出入りしては好き勝手に遊んでいるような場所で雰囲気としてはけいおんの軽音部からきれいな要素を全部はぎ取ったような感じでした紅茶もなしお菓子もなしかわいい後輩もなし

あのパソコン部がすっかり変わってしまったのはすこしだけさびしいですべつに昔はよかったとかそういう話ではなくてただあんな場所でも僕のいた風景のひとつで僕はとてもたくさんの時間をあの薄汚くて冬は寒く夏は暑い部室で過ごしたからそれが全然違う形になってしまっているのは僕の想い出の拠り所が失われてしまったようでさびしい

まあでももう卒業して五年も経つのだしそんなものでしょうね(いやひとつの組織の変化として五年でこれはちょっと速いか)

過去に拠り所をすこしずつなくし現在に居場所を見つけられずにいて未来に希望を見出せない僕はどこにいるのだろう


さて眠たい気持ちがすこし減ったので部屋をすこし片付けようと思います明日はなんかセミナーがあって話はきっとおもしろいので行きたいですが学会の予稿が書けるのか心配です明後日は予稿の予行で打ち合わせがあるしうう