andante

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こんにちは時間

こんにちは時間です

あいやいささか唐突だったかなとは僕も思っているんだ普通の意味で時間はしゃべらない時間ってのはしゃべったりするものたちが乗っかってるいわば足場のようなものでそれ自体がしゃべったりするものじゃあないそうだ君が言っていることはまったく筋が通っている

がしかし僕はこうしてしゃべっているそのことに異論はまずないと思う異論が差し挟めるとしたらそれは僕の話を聴いているからでそのことはそれ自体異論を打ち消すその点はいいと思う僕もいいと思っているいや特になんとも思っていない僕にとっては自明と呼ぶのも憚られるほど自明だからね

となると君はこう訊きたくなるだろうお前ってマジで時間なのいい心がけだと思う君がかつてどれほど素直な子供だったか目に浮かぶようだもっとも時間である僕にとってはかつても今もあんまり関係がないのだけどね

話がそれた僕が時間だってどうやって示すかうんこれはとても難しいひょっとすると僕にも証明できないかもしれないいや自信がないって話じゃないんだただこういう種類の存在に対して言葉ができることってのはほんとうに少ない雀の涙のおよそ六割くらいだ体積でねああそんな話がしたいんじゃないんだけどなんだっけそうだ僕が時間であることの証明ひとつ僕は時間であるふたつ時間は僕であるみっつこれが示さんとするところであったどうだい

あいやそうだねわかってる君がこんなことじゃ納得してくれないことはわかっているんだどうかしてたよだけどねえ君僕だって精一杯やっているということをわかってほしいんだなにしろーー僕にはここに書くほかにできることはないのだし

よしわかったそれならこういうのはどうだろうもしもそれが時間のように歩き時間のように鳴くのならそれは時間であるこれですこしは僕が時間だってわかってくれると思う時間が鳴くのを聴いたことがないというのはもっともだあいつはめったなことじゃ鳴かないからなというか鳴いたことがない呼吸もしないし求愛とも無縁だからね時間に愛はいらないんだ無性生殖で殖えるからね

それじゃ僕はもう行くよ時間だからね