andante

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書きます

どうでもいいことを書くことにどういう意味があるのかなどさしたる問題ではなくそもそも意味という言葉の意味を誰も教えてはくれなかったのにどうして意味の意味をわかったかのようになっているのかについて最終的な解決は未だ与えられずこれと類似の疑問を他にも抱いていたように思うけれどもいま思い出すことは能わずこの文章には句読点が使われていないのがほとんど確実に意図されたものであることは読者にも伝わっているであろうと思うところでここに打ってみせる空中に放り投げる放り投げられた読点と句点は空中で爆ぜる雪に紛れた句読点は春になると地表に現れるので子供たちが拾いあつめる

ついでに段落も改めてみたところで今日は八月の四日となっていて二時間ほどすれば日付は変更されるのだが月齢などを気にしてみたところでそういったものを解する心のほうが存在せず目の前には近頃話題の羽根なし扇風機の宣伝冊子が置かれているのだがこうして前後のつながりを一切考えないで文章を書くというのがなんなのかと問われてみて暇つぶしとしか答えられず暇なら眠ればいいものをこうして起きてキーボードを叩いている理由は不明とされている

ここでゲームをしようと提案するのだがどういったゲームかと説明するならばすなわちこれから指定されるものごとを一切考えないようにしようというゲームであり深い意味はないのだがいまここに宣言するセネデスムスオポリエンシスというのはイカダモと呼ばれる微小な生物につけられた学名でありScenedesmus opoliensisと綴るのだがさあこれからセネデスムスオポリエンシスのことを考えないゲームをしましょうと微笑んでみたところで誰がそんなもののことを考えるのかと多少の疑問を抱くところではあるのだがそうは言ったって兄さんはセネデスムスオポリエンシスが大好きなのですからなんとか東京の学校へやってはくれませんか父さんと頭を下げた弟に申し訳が立たないような生活を二年続けて獲得した単位は三つであるのだがその間にセネデスムスオポリエンシスのことがすこしは判ったのかと言えばそういうわけではなくこれもまた弟の助力で買った重厚な書物は専ら押し花を作る道具へと成り代わっていたのであるがそれはそれとしてセネデスムスオポリエンシスは夕方くらいになると窓辺でマフラーを編むのであるが隣ではミナカテルラロンギフィラは紅茶を飲みながら本を読むのだった

満足を得た