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朝に両親と合流し、大塚国際美術館へ。すごかった。素晴らしかった。以下つたない感想。
ここの特徴として、陶板による美術史上の名画の再現というのがあるわけだけど、その凄みというのは、別にそれがリアルで原寸大な再現であるということではなくて(もちろんそれもある、システィーナ礼拝堂とか)、それが全部一度に観られるというところにある。全部一度にというのは全部一度にということで、人々が同じモチーフで何度も何度も絵を描いた様子が一望できる。キリストの磔刑も受胎告知も一生分観たが、時代によって全然印象が違う。やはり中世以前のものは非常に様式を重んじるという感じがあり、デフォルメも凄い(これは技術の問題というより作法の問題なのだろう、アニメ絵と同じで)。ルネサンスあたりになるとモブキャラにもかなり個性が出てくるし、磔刑という行為のグロテスクさを表現するリアリズムなんかも出てくる。モブキャラにはモブキャラの暮らしがあり、モブキャラの暮らしを見つめる絵が増えてくる。神話や聖書に名のある人物や貴族ではなく、画家自身や妻や愛人や、もしかすると特定のモデルはいないかもしれない人が描かれる。そういう変化を一望するのには、この物量はうってつけだ。普通の美術館には、レンブラントの自画像だけを10枚集めた部屋などはない。
だいぶ前に読んだ『美術の物語』にはそんなようなことが書いてあったなと思う。てか復習してから来たらよかった。なんならポケット版を片手に回ればよかった。次があるなら是非そうしたい。
そういうわけで本当によかった。1日では回りきれないかもと思っていたがなんとか回れた。ただものすごく疲れたので、最後らへんは少しぞんざいだったかもしれない。まあ、個人的には印象派以後にはそれほど関心がないのだけど。キリストの磔刑に読みかたがあるように、モダンアートにも読みかたがあるはずで、そちらはまだちょっとよくわかっていない。キリストの磔刑の読みかたも別に知らないが。
夜はお酒を飲みながら両親と話したりした。Macbookのサポートセンターをした。パソコン苦手な人って、パソコンが出してくるメッセージとかを読まない傾向が強いけど、それはパソコンが出してくるメッセージだけのことなのか、普通の文章も読んでないのか、もしかすると人の話もあんま聞いてないのか、ちょっと気になる。
明日はなんとなく渦潮を見つつ東京に戻る予定です。ここまで元気で来られて嬉しい、帰るまでが遠足です。