2021年について
一年の総括みたいなものを書くのは久しぶりの気がする。この数年、あまり振り返るような年だった感じもないなというのと、そもそも西暦の節目というものにそれほど意味を感じないというのとがあるのだけど、今年はけっこう頑張ったなという気がするし、まあこういう機会でもなければ振り返ることもないなと思うので、ちょっとだけ書いてみる。
Rustを勉強した。Rustは小難しい型システムがあるので憧れの言語だったが、小難しい型システムのために二度くらい挫折していて、今回は三度目のはず(つまり三度目の正直ですね)。自転車本を読みつつ、最近の発展も学びつつ、歯車本も読んで、それからこのblogをRustで全面リニューアルした。2010年にPHPで書いて、2013年に一度PHPでリニューアルしているので、今回は二度目です。いま思うと、2013年の僕はまだ何にもソフトウェア開発のことをわかっていなかったなという感じで微笑ましい。いまもまだわかっていないことは多いけれど。
所有権やライフタイムといった小難しい諸概念は、実は案外気にしなくてもできることは多い。慣れただけかもしれない。ライフタイムパラメータを明示的に書くことは実際あまり多くはない。所有権については、回避するパターンをいくつか覚えたのでなんとかなっている。マルチスレッドをやるとたまに手ひどく怒られることはある。
今年はアプリエンジニアとしての仕事はほとんどしなかった。趣味でちまちまいじってはいる。Swiftにasync/awaitが来たのは良かった。構造化並行処理の考えかたもSwiftらしくていいなと思った。これを仕事で使うことは当分ないと思うと少し残念。
仕事というと、転職をした。思えば前職も(広い意味では)知人からの紹介だったわけで、あいかわらずこういう縁に助けられがちな人生なのかなと思う。僕自身はあまりそういう縁を大事にしない人間なのにそうなってしまっているのは、後ろめたい気持ちがなくはない。まあ、大事にできるときは大事にしていこう。
転職後はWebバックエンドエンジニアをやっている。PHPをまとまった量書くのは10年ぶりくらいで、その間にPHPも今風の言語みたいになっていて驚いたりした。思えば長い付き合いだ。高校時代の僕に「お前15年後も仕事でPHP書いてるぞ」と言ったらどう思うだろうか。
仕事は一年通して概ね順調だった。まあ、それなりに思うところがあったから転職したわけだけど、それを除けば前職の人たちにも本当によくしてもらったと思う。今年は採用にも関わって、自分の中では超苦手分野だと思っていた対人コミュニケイション業務も、慣れればできなくはないということがわかった。これに関しては、僕はいまでもまだ成長途中なのだろうと思う。5年前だったら絶対できなかっただろう。任せてももらえなかっただろうが。
採用に関わって他人の職務経歴書を眺めているうちに、自分のキャリアというものに思いを馳せることが多くなった気がする。単にそういう年頃なのかもしれない。結局自分はどういう部分で存在価値を発揮できるのか。無理なく続けられて、そこそこ評価されるのか。人生という重荷が重いことは変えられないが、丁度良い姿勢や持ちかたを工夫することで少しはマシにできるだろう。
趣味でいうと、数学の勉強をひさびさに始めている。いま読んでいるのは『相対性理論の数理』なので、数学というか物理というかという感じだが。これが終わったらまた数論にも再挑戦したい。道は遠いけれど、諦めたくはない。
それからいまはTCP/IPをRustで実装している。これが終わったら今度はUnixのソースコードを読む本を読もうかなと思っている。Linuxカーネルについて学ぶとか。Cコンパイラを作るというのもやりたい。やりたいことがたくさんあるのは幸福なことだと思う。
キーボードの自作もした。自作といってもキットを組み立てるだけだけど。本当は完全オリジナルの設計までしたいと思っていたのだが、結局キットで満足してしまっている部分がある。でも、静電容量式スイッチとかを試したいという想いはあり、これはそのうち機を見て挑戦したいな。
婚姻生活は2年目になった。昨年よりは、まあいろいろな部分で消耗することが減ったかなと思う。互いに譲歩したこともあるし、単に慣れたこともあるだろう。来年はさらによくなることを期待したい。
人生についてもやはり考えることが増えた気がする。友人が子を持ったり家を買ったりしているのを見ると、自分も何かしら駒を進めなければならないような気持ちがする。幸福な人生の形がそれほど限られているというわけではないだろうが、何事にもタイミングというものはある。
そういえば、健康面ではあまりいい一年ではなかった気がする。まあ、僕の人生が健康面でよかったことなどもう長いことないのだけど。昨年が(世間が大変だったにもかかわらず)かなりよかったので、それと比べるとよくなかった。片頭痛の癖がひどくなった。頭痛はともかく閃輝暗点が出るので仕事に差し支える。そもそも仕事で目を酷使するのが原因であるらしい。これは難儀な持病を抱えてしまったなと思う。薬を飲むと抑えられはするので飲む。
腰痛などは今のところない。ただ肩凝りはひどいことがある。これは姿勢を改善すべきなのだろうと思うが、よくわかっていない。
振り返って書くに値するようなことはこのくらいではないかと思う。悪くない一年だった。いい一年だったと言ってもいい。自分がどういう人間であるのか、それをうまく制御できていると思うし、それなりに好きでもいられている。来年もこのくらいだとよい。
来年に向けて特に決意することはなくて、ここに書いたようなことがそのまま続けられたら上出来だと思う。それはちょっと高望みかもしれないけれど。「背伸びして生きることを忘れない」。
そういうわけで、本年中はお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
追伸:このpostを投稿しようとしたら、nginxのPOSTサイズ制限に掛かってしまった。こんな長文を投稿したことが長いことなかったから気づかなかったのでしょう。ウケるな。