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時空操作$T: S\rightarrow S^\prime$のPenroseエントロピー$H(T)$を次で定める:
$$
H(T)=k(\log W(S)-\log W(S^\prime))
$$
ここで$k$はBoltzmann定数である。このとき、次の重要な結果が知られている。
定理 4.1(時空操作におけるShannon-Penrose限界)
時空操作$T$に必要な情報量$I(T)$に対して$I(T)\geq H(T)$が成立する。
これはどういうことだろうか?すなわち時空の操作には限界ーー情報量的限界ーーが存在するのである。「影響のある」操作には、それに見合っただけの情報が必要なのだ。このように説明すると至極当然のように思われるかもしれないが、それが数学的に厳密な形で示されるのは驚くべきことである。
さて、ここでこの不等号の差を考える。すなわちある種の「効率」$E$を$E=I(T)/H(T)$で定めれば、上の定理から直ちに$E\geq 1$となるが、実はこれは操作$T$にはよらず、操作を行う時間機関にのみ依存する[34]。これにより、時間機関$C$の効率$E(C)$を定義することができる。
さて、前章の最後で「非常に行儀のよい」機関の例としてGödel機関を紹介したが、その行儀のよさにはあまり触れなかった。効率という言葉を用いれば、Gödel機関に次のような特徴付けを与えることができる。
定理 4.2(Gödel機関の理想性)
任意の時間機関に対して、Gödel機関の効率のほうが良くなる($E$が1に近づく)または同等であるような時空分割が存在する。
この意味でGödel機関は理想的であるという。
すなわち、どのような時間機関を考えたとしても、時空の分割をうまく選ぶとGödel機関のほうが効率がよい状態にできる、ということである。であれば、当然無限小Gödel機関の効率は1、すなわち定理4.1で等号が成立している状態である、……と考えたくなるであろうが、これは未解決問題である。次節では簡単な例を示すが、多くの場合にGödel機関の効率の具体的計算は難しく、これまで得られている最良のものは$\frac{1+\sqrt{7}}{2} \approx 1.82$である[22]。逆にその他の機関に対してはこれより効率の良いものも知られている($E=\sqrt{2}$)が、定理4.2が予言するような、より効率のよいGödel機関の具体的な構成はまだ見つかっていない。
仕事はなんだっけ。トラッキングの実装をちまちま確認していたら終わったような気がする。前にやったのと似たようなものだろうと思っていたんだけど、思ったより差分があるので焦っている。やれやれ。
そういえばレビューをしていたらおもしろいテクニックを知った。RunLoop.runでモードをdefaultにすると、メインスレッドで実行される予定になっている何かのコールバックをそこで実行できるらしい(逆にその間はメインスレッドでwhileループを回しておく)。同じスレッドなのにランループのモードで別のものを実行できるのか。なんかおもしろい。しかしこれ本当に動いているのか?
夜は部屋を片付けてた。実家に送りつける本をまとめている。あまり送ると母に渋い顔をされるだろうが、まだ僕には本棚を捨てる覚悟は持てない。